西への衝動―アメリカ風景文化論

作為によってつくられた国家の「作為」とは、どのようなものかを考えてみます。作為によってつくられた国はアメリカだけではありません。国家、政府、社会体制、イデオロギー・・・これらの作られた「目的」を考えるのも楽しいことです。

コロンブスはアメリカ大陸を「発見」し、秩序を持った人間は誰も住んでいなかったことにして、その「野蛮」な場所に聖人などの名前をつけて、土地の所有を宣言して、自分たちの秩序を作り上げていきました。その「偉大な」作業に、より多くの人々を駆り出すためには、正義や使命も必要でしょう。

それぞれ時代は異なりますが、アメリカ大陸では西へと征服が進められ、ユーラシア・アジアでは東へと征服が進められていきます。日本の中においても、東征を正義として扱うこともあるでしょう。

正義や理想は現実を隠すことができると信じられていますが、実は、多くの人の潜在的な意識は現実をそのまま感じているのではないでしょうか。アメリカにおいてそれは「アメリカのジレンマ」として表れ、正義や理想の姿に近づくよりも、その不調和や不協和音の拡大を止めることができないように見えます。

資本主義も共産主義も、共和党も民主党も、北部も南部も、「正義が人をどのように動かすか」の実験なのかもしれません。もし、その実験が不調和をもたらすためのものであるならば、その企ては成功していると言えるでしょう。


おすすめの本

『西への衝動―アメリカ風景文化論』
荒 このみ(著) NTT出版

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