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古代諏訪とミシャグジ祭政体の研究 -日本原初考-

諏訪の土着であり縄文の文化を受け継いできた洩矢の民と、渡来系であり天孫族である大和の民、そして天孫族に追われて諏訪と融合する出雲の民。これらが重なり合いながら一つの形を成してきた諏訪。

洩矢の民が縄文から受け継いできたミシャグジの信仰は、異文化と融合しつつも江戸時代まで力強く生き続けてきました。しかし、明治維新以降の疑似的な天孫礼賛と即物的な社会変革によって、おおらかな自然体であるミシャグジの信仰は消えてしまうかと思われました。

そのような中で、このままミシャグジ信仰を絶滅させてはいけない、と何かに取り憑かれたようにミシャグジを甦らせる活動を始める人たちが顕れます。

この本ではこう語られています。「今、ぼくらが回帰すべきなのは、この自然そのもの、大地であり、樹木であり、空気であり、川であり、岩、山そのものなのである。それらの自然存在と、人間もまた切り離された存在ではないということをハッキリ認識するということなのである。原初に存在した、こうした信仰と、自然神(地母神)との交流から上昇し、呪術者が権力を握り、祭、政を分離し、支配者となってしまった構造は、この洩矢民族のミシャグチ信仰が滅ぼされていった過程の中に、まざまざと示されているような気がする。」(p.60)

地母神の信仰は日本だけでなく、ケルトや世界中に数多く存在します。地母神の恩恵を忘れて人間のみを分離させて疑似的な天に向かわせる思想は、本来、円環であるこの世界を破壊するものであることを、この本を読んで改めて強く思います。