料理を出すお店を経営しているとき、彼はスタッフに庭の手入れから1日をスタートさせていました。それは、まず掃除からさせるような精神論的な意味ではなく、五感を研ぎ澄ますためだったようです。
庭の植物を手入れし、植物と対話し、今日の天気、温度、湿度を肌で感じ、音を聞く。香りを嗅ぐ。そうしてから今日のための、今日の一期一会のための、料理を作り始める。結果ではなくてその過程を大切にする。その過程の中に相手の人をとても大切に思うすべてが入っている。そんなことをこの本を読んでいるととても感じます。
結果だけを求めると、お客様も「結果」に見えてきます。お金を持ってくる「結果」。どんな顔をしてようが、どんな服を着てようが、関係ありません。
お店を装飾するための植木、高級感を出すためのインテリア、お金をたくさん払ってくれるための料理。そして「自分たちのための結果」という顔の無い人を呼びこむための広告。そんなものたちを強く否定して、人と人、人と自然のシンプルな関係に戻ったときに、本当に幸福感ある生活や仕事ができるようになるとこの本は教えてくれます。
おすすめの本
『生活はアート』
パトリス ジュリアン(著) 幻冬舎