今年もいくつかの種類のタネをつなぎました。菜豆、小豆、大豆、ナス、胡瓜、甲州モロコシ、陸稲、水菜。雑草園で何度もつながれたタネもたくさんあります。今年のお仕事を終えて、増えた種を携えて、菜園のあちらこちらから種テントに帰ってきます。そして、しばらくはテントの中でゆっくりとお休みしてもらったら、春になったらまた土へと戻っていきます。次の仕事をするために。そしてまた多くの種を携えて戻ってくるために。
私たち人間の作業はタネを土に落とすだけ。なのに、未熟果である甘い野菜をいただき、増えたタネの一部もありがたくいただくことができます。
でも、人間にはタネに負けない仕事ももちろんできます。その中でも最も大きな仕事は言葉を作り出すということ。放たれた言葉は雑草の種のように空に舞い、風に乗り、誰かの服に引っ付いたりしながら、どこかに降り立ちます。小さなことでいい。何かの幸せのために発せられた言葉は、必ず誰かのところに落ちて発芽します。こんなのを植えたかなあ、と思いながらも、誰かが育ててくれて、花を咲かせて、また多くの種を作り出します。
司令塔から発せられた無表情な言葉は無表情な花を蔓延らせます。無表情は無気力を生み出し無生産となり無感動になります。私たちはそんなものに負けないように、個性的でクリエイティブでユーモアあふれた自分の言葉をたくさんたくさん放っていきましょう。その言葉は必ず表情豊かで驚きと発見と生きる力に溢れた世界を作り出してくれます。